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その8 石川県の伝統産業 加賀能登の職人 手仕事を支える人びと |
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タイトル |
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石川県の伝統産業 加賀能登の職人 手仕事を支える人びと |
出版社 |
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ブレーン・オアシス |
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「弟子入りしたとき、先生に『絵心がないとだめや』といわれました。どの工芸でもそうだと思います。絵心とは、今でいう図案・意匠・デザインとも違う、もっと幅の広いもので、一生が絵心の勉強です。心をつくさんとバチが当たると思うて、手を抜かず一生けんめい心をこめてすると、品物は正直に答えてくれます。心と出来た物で勝負するのが名工やし、職人です。」という人間国宝の故・木村雨山の言葉が扉に掲げられている。
全体が三部構成となっており、第一部は「石川県の伝統産業」として、石川県の伝統工芸の歴史・特色・工程を写真入りで紹介。第二部は「手仕事を支える人びと」として、伝産協会伝統功労者として表彰された職人たちのプロフィールを顔写真付きで掲載。趣味まで出ていたり、土地柄か「好物は魚」という方が目に付くのもおもしろい。第三部では「この人この道」として、第二部で紹介された職人さんの中から約50名を、一名につき3ページで仕事中の写真もまじえてクローズアップしている。
129頁の蒔絵師・畑重義氏(故人)は、当店でも長きに渡り高蒔絵をお願いしていた方であり、その華麗な蒔絵は今も受け継がれている。131頁の斉藤此農夫氏は、当商店に勤務していた大正5年生まれの優秀な木地挽物工。「元来、物を作るのが好きで、叔父のすすめでこの仕事に入りました。そのころは徒弟制度で、現在ではとうてい考えられないことです。9年間の軍隊生活から復員し、桐の木特有の木の香と廻るろくろの感触――この時の気持ちは、終戦直後のすさんだ気持ちを和らげてくれたことを忘れません」と語っている。 |
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