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タイトル |
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日本の道具 |
著者 |
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水上勉 他 |
出版社 |
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読売新聞社 |
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「ひと・くらし・道具」「道具の風土記」「素材とかたち」「道具談義 道具の風物詩」の4つの特集からなり、水上勉、富岡多恵子、篠田正浩、藤沢周平、白洲正子、安岡章太郎ほか多数の著者による文章が寄せられている。カラー写真も満載。
そのなかで映画監督の篠田正浩は「朱の妖しさと道具の原型」と題し、金沢と能登半島を訪ねて見た木器などについての思いを記している。とりわけ石川の工芸品の鮮やか過ぎるほどの色に着目し、「客を迎える時には、色彩を失ったこの暗い北陸の風土に押しつぶされないで豊かで賑やかな気分を味わいたいと願った北陸人の気風が、座敷を朱で塗りこめたのに違いあるまい。」と想像し、「金沢にみられる道具と住居のすべては、重い冬を意識しているのである。私は、今やっと冬の旅にめぐりあってそのことを知ったのである。」と記している。そして「無残な姿の形だけで残るよりも、滅びるものは滅びてしまったほうがずっと美しい。」という千代芳子さんの言葉を引用し、「私は輪島塗から沈金や蒔絵を捨て去るのが上策としか思えないのである。そして木器を、生涯を通じての生活道具として、もう一度人々の手に返してやることである。」と締め括っている。
この意見に全く同調するわけではないけれど、桐工芸もやはり同様の問題を抱えながら残り、惰性もあり、試行錯誤もある。しかしまだまだ試行錯誤も思い切りも足りないなとも思うのです。 |
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